Dewey the Library Cat (図書館ネコのデューイ) Vicky Myron with Bret Witter

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久しぶりの洋書です。しばらく日本語漬けでしたので、良い気分転換になりました。大きな字で書かれているため、通勤電車の中でもスムーズに読み進めることができます。ネコや動物に関する単語がしきりに出てくるため、少々難解な部分もありましたが、ネコ好きの皆さまには、ぜひ一読いただきたいお話です。

 

とある図書館の返却ボックスに突如現れた子猫。図書館司書が彼を保護するところからストーリーが始まります。図書館の看板ネコとして活躍を広げるデューイは、命の恩人に恩返しをするかのように、周りの人々に愛と勇気を分けてくれました。図書館に訪れる人の様子を見て、そばに寄ったり、ひざの上に座ったりと、訪れる人の心に寄り添っていた彼は、本当にネコなのだろうかと疑いたくもなってしまいます。

 

図書館内で動物を飼うという突拍子もない提案に、はじめは周囲の理解を得ることができませんでした。中には、アレルギーの方もいますので、そうやすやすと案は通りません。しかし、聡明で利口なデューイは、もって生まれた天性か、次第に周囲の理解を得ていきます。遠い街からわざわざやってくる人、ドキュメンタリー作品の制作のために日本からやってきた撮影陣のことなども記載されていました。

 

小さな田舎図書館のデューイはいつしか世界中で知られるネコとなりましたが、命は永遠には続きません。おじいさんネコになるまで図書館での仕事を全うした彼は、天国に行ってしまいました。誰もが悲しいニュースに涙を誘われましたが、不思議なことが起こったそうです。彼がいなくなってしばらくしたのち、また図書館の返却ボックスにその子がいたのだそうです。

 

輪廻転生という言葉がありますが、皆さまはどう受け止められるでしょうか。目の色、毛の色は全く違うそうです。ただ、その子の素直なまなざしは、デューイそのものだそうです。図書館司書は彼を自分の実の子供のように愛していました。デューイはそんな彼女のそばにずっといたいと、姿を変えて戻ってきたのかもしれません。

 

豊饒の海」も転生が一つのテーマになっていました。私には前世の記憶はありませんが、ひょっとすると大切な誰かのために、やりのこした何かのために、再び現世に戻られた方もいらっしゃるかもしれませんね。